野球フィジカルコーチングメルマガとは?

野球大好き

運動神経を高める「コーディネーショントレーニング」【少年野球の時期にやると良い】

子どもが筋トレをするとケガをする?

「子どもが筋トレをするとケガをするんじゃないでしょうか?」
「子どもの時期にハードな筋力トレをしたら身長が伸びなくなるって聞いたけど?」

小学生・中学生など、成長期の子どもを持つ親御さんの中には、そのような不安や疑問を持つ方は多いです。

実際のところ、成長期の子どもが過度な負荷や量での筋力トレーニングを行うことは、ケガの元になります。筋力が十分に発達していないと、筋肉、骨、じん帯などに大きなストレスがかかってしまうからです。

ただし、すべてのトレーニングが子どもに悪影響を及ぼすわけではありません。トレーニングのやり方や注意点を守って行えば、大きな効果が得られます。

本記事では、子どもの時期に行うと良い「コーディネーショントレーニング」(自分の身体を自分の思い通り動かすことができるようにするトレーニング)について解説します。

ゴールデンエイジ理論

左の図1を見てください。これは人間の各機能の成長段階を表している「スキャモンの成長曲線」です。

(図1)スキャモンの成長曲線

20歳の発育レベルを100%とし、4つの器官型(リンパ型、神経型、一般型、生殖型)に分けて発達過程が示されています。とくに注目して欲しいのが神経系(脳、脊髄、抹消神経、頭部、眼球の大きさなど)の発達を表している「神経型」です。

10歳~12歳(小学校4~6年生)は神経系が成人と同じ程度まで発達し、さらに他の運動能力も急速に発達することから「ゴールデンエイジ」と呼ばれています(図2)。

(図2)12歳までの最強トレーニングより引用


この時期は、さまざまな運動やスマートな身のこなしが急激に習得できる時期であり、10歳頃時までの間に、色々な種目の遊びや運動・スポーツを通してさまざまな基本運動を経験させ、神経系に刺激を与えることが大切です。一般的に言われる「運動音痴」や「運動神経が悪い」ということを防ぐ上でも非常に重要と言われています。

ゴールデンエイジに適したコーディネーショントレーニング

神経系が著しく発達する「ゴールデンエイジ」の時期に適したトレーニングとして、「コーディネーショントレーニング」というものがあります。

コーディネーショントレーニングとは、自分の身体を自分の思い通り動かすことができるようにするトレーニングですが、コーディネーション能力は次の7つに分類されます。

コーディネーション能力の分類
1.定位能力 ものや人などと自分との位置関係を把握する能力
2.変換能力 状況の変化に対応して迅速に対処する能力
3.リズム能力 タイミングにうまく合わせる能力
4.反応能力 合図に対してすばやく対応する能力
5.バランス能力 バランスを保ち、崩れた態勢を立て直す能力
6.連結能力 体をスムーズに動かす能力
7.識別能力 手や足、道具を上手に操作する能力

投球動作、バッティング動作、守備、走塁などすべてのプレーに、これら7つの能力が相互に関連して働いています。

コーディネーショントレーニングを行うことで、脳から筋肉へいたる神経回路の発育を促し、また、成人期においては動作を円滑に、正確に行う能力を向上させます。さらに、効率よい動作が可能になることで、スポーツ障害の予防にも役立つとされています。

コーディネーショントレーニングの具体例

バランスディスク上で片足立ち

バランスディスク上で片足立ちをしながら、ボール(メディシンボール)をトスし合う

メディシンボールを、体全体を使って色々な投げ方で投げる

バランスボールに座ってボールをトス

ラダートレーニングやミニハードルを使ったトレーニング

1マスごとに両脚ジャンプ

1マスごとに脚を開いたり閉じたり

バランスボールに乗りながらキャッチボール

その他にも、

  • 両足を前後、左右に開いたり閉じたりしながらの縄跳び
  • 二人一組で走りながらキャッチボールをする
  • 利き手と反対側の手でボールを投げる
  • いつもと反対打席でバットを振る
  • コーンを使ったステップ動作やジグザグ走

なども身体の連携が鍛えられます。

ゴールデンエイジの時期は、運動神経を鍛える絶好のチャンス!

ゴールデンエイジと呼ばれている時期は、運動神経を鍛える絶好の機会です。野球だけではなく、色々な遊びやスポーツを経験することで多くのメリットが得られます。

また、その後の野球技術力のアップにも役に立ちますので、コーディネーショントレーニングを日頃の練習にも取り入れてみてはいかがでしょうか。ただし、適切な指導がなく、危険な環境下で行ったり、悪ふざけをしたりすれば、どのような種類のトレーニングであっても事故は起こりえるということは十分理解して行ってください。

参考文献

  • 佐久間和彦/運動・からだ図解スポーツトレーニングの基本と新理論/マイナビ出版・2017
  • 谷けいじ/12歳までの最強トレーニング/実業之日本社・2018
  • 出村愼一ら/健康・スポーツ科学講義第2版/杏林書院
  • Azahara Fort-Vanmeerhaegheら/青少年の統合的神経筋トレーニングと障害予防/NSCA JAPAN・2017
  • 星川精豪/成長期と身体発育速度を考慮したトレーニング/Training Journal・2013
  • Avery D. Faigenbaum/子どものためのレジスタンストレーニング/Strength & Conditioning・2006
  • 国際スポーツ医学研究所/スポーツコンディショニングの基礎理論/西東社・2014

 

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

CAPTCHA